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Miyabi Lifestyle Blog

M.P.C ~it's not fan to be life. ~

研究者が世界の未来を考えて起業をしてほしい

by 宮田拓弥(投資家)

私は今、
サンフランシスコを拠点に
「Scrum Ventures」というファンドを運営しています。

スクラムベンチャーズは、
アーリーステージのスタートアップを対象とした
ベンチャーキャピタル(VC)です。

アーリーステージとは、
起業して1~2年の時期を指します。

事業を始めたばかりで資金があまりなく
最初の資金繰りをするタイミングでもあります。

私は、年間で約20社のスタートアップへ投資しています。
そこで最近感じるのは、
私のところへ相談にくる起業家の中に
Ph.D(博士号)を持っている人が増えてきていることです。


アメリカでは研究者たちが起業を目指す

博士号を持つような人からの相談が増えている
つまり

「起業するまでずっと
コンピュータサイエンスの世界で研究していました!」

なんてバックグラウンドを持つ
起業家がスタートアップに増えつつあるということです。


先日、私が投資したAudacyを立ち上げたのも
博士号を持っている起業家でした。

もともとイーロン・マスクSpaceXで働いていて
そのビジネスの延長線上で考えていた課題を
解決するために起業した会社です。


その起業家は技術を極めるため
起業前にスタンフォードMBAへ戻って勉強し直しています。



このビジネスの背景には

「以前に比べて衛星を飛ばす費用が安くなった」
「もっと地球のことを知りたいと衛星を飛ばす人が増えた」
「けれど、飛ばした衛星からのデータを受け取れない」

があります。


そこで、
3機のスペースクラフトを飛ばして
各衛星からデータを受け取って
地上へ送るビジネスをスタートさせたのです。


スペースクラフト向けのインターネットビジネスですね。

起業家自身が専門の技術者だからこそ、実現したものです。


「SFの世界にだけ存在するもの」が
現実に登場し始めています。


ロボットやAIなどがいい例ですね。


そういった技術が注目されていることもあり
マサチューセッツ工科大学などの
大学も賑やかになってきています。


これまではずっと陽の目を見なかった彼らですが、
「ようやく俺たちの時代がきた!」という雰囲気です。

研究の出口に「ビジネス」がある風土

アメリカの場合
研究者だからといって
ずっと研究所に居続けるケースはあまりありません。


日本とは違い、研究者であっても
「起業」を目指す風土が整っています。


たとえば
スタンフォード現学長のジョン・ヘネシー
起業家でもあり
Google社外取締役なども経験しています。


そして、スタンフォードでは
勤務する教授の約半分が元起業家です。


こういう構成は日本ではあまり考えられません。


ちなみに
Googleの初期のエンジェル投資家である
デイビット・チェリントンも
スタンフォード大学の教授でした。


もちろん
学問と起業は完全に連動しているものではありません。

ですが
「チャレンジ精神」の一つとして、
教育や研究のゴールとして、
その成果をビジネス化していく
流れがあることがわかります。


日本でも、
そういった研究者や技術者がビジネスをできないのか
というと、私はできると思っています。


東工大の技術者などが起業したら、
きっとすごく面白いはずです。


日本の大学で博士号をとるような人のキャリアとしては、
研究所や大学に残る選択がメジャーでした。


起業からもっとも遠いイメージは、
今でもあります。

しかし、
そういった人たちにこそ、
どんどん起業してほしいと思っています。


日本では「イケてる大学生」が起業を目指す

アメリカでサイエンティストが起業する
ケースが増えている一方で、
日本では東大などに通う
「イケてる大学生」が起業を目指すケースが
増えているように感じています。


私が2002年に起業したとき、

起業する=異質なものでした。


エンジェル投資家もいませんでした。

13年経った今、少なくとも起業して
数億、数十億円を手にしている人がたくさんいます。


エンジェル投資家も、当時に比べて増えています。

日本にはシリコンバレーのような
起業文化がなかったのかというと、実はあります。

本田宗一郎さんや井深大さんなどの成功で、
一瞬だけ、その波が起きているのです。

しかし、その後、サラリーマン時代へ突入しました。

みんな、本田さんや井深さんが作ったような会社に入った
というイメージですね。

そのせいか、つい数年前までは

起業する人
ドロップアウトした人・アウトローな人、

なんて見方をされがちでした(笑)

その流れが今、変わりつつあります。


当然ながら起業は大変ですし、苦労もします。


ですが、
大企業の生涯年収を、
かなり高い確率で(のたうち回りながらも)
稼ぐことができます。


また、今は少なからず
「起業した先輩たち」がいます。


数々の大企業が
「いい意味でダメ」だと感じられている中
「大企業へいくより、起業したほうがいいかもしれない」
「起業したほうが勝てる」
と感じる若い人が増えているのです。

起業は「専門分野」を極めてからでも遅くない

日本でも、
東大生など若い人たちが起業を目指すようになっている。

これは非常に良い流れです。

ただ、起業を目指す若い人たちに一つだけ言いたい。

それは
「安易にネットで起業しないほうがいい」
ということです。

2015年現在、今やネットデジタルだけでなく、
どのカテゴリでも起業できる時代がきています。

日本では
「とにかく起業したい」
「社長になりたい」
と、起業してから何をするのかを考える
パターンも多い印象があります。

実際に私も、そういった相談をよく聞きます。


もちろん、
起業してから「何をするのか」を考えてもいいと思います。

しかし、
マジョリティとして
「何をしたいのか」が先にあり、
そのための研究などを極めてから
起業を考えたほうがいいのではないでしょうか。


シリコンバレーで起業する人たちは、
みんな、人類の未来を真剣に考えて会社を作っています。

自分の中にある根源的な欲求に対して、
素直な姿勢で研究開発をしている人が多いのです。

シリコンバレーに活気がある理由は、まさにこれです。


イーロン・マスクも、
ビジネスのノリとしては、もはや研究者です。

自分の興味と関連するハードコアな専門知識、
その延長としてSpaceXがあります。


過去の成功例を振り返ってみても、
本物のFirst Penguinになった人には地頭力がありました。

地頭力があれば、ビジネスとして勝負できます。

「とにかく起業したい!」という勢いも、
もちろんいいと思います。

ですが、本当にビジネスで勝負をしたいのなら、
まずは「何をしたいのか」を考え、
その分野を極めてから起業しても決して遅くはない。

私はそう考えています。

bey!!